2005年05月04日
私はヨーロッパチャンピオン。特別な存在だ I am the European Champion. I think I am special 2004年6月 チェルシー監督就任時の記者会見でのモウリーニョの発言
イングランドのプレミアリーグで、チェルシーが1位を独走している。昨年50年ぶりの優勝を勝ち取ったが、今年もかなり高い確率で優勝しそうだ。監督はご存知、ポルトガル人のモウリーニョ。
ベンゲル、ファーガソンがいる世界的なリーグで、連続優勝を果たせば、監督としての手腕は揺るぎないものになる。
一方、彼の傲慢(Arrogant)な発言は、これまでたびたびメディアに取り上げられてきた。女王様の国の記者は、モウリーニョが嫌いらしい。でも、そういう薄っぺらい記事を読んでいると、つい彼のことを調べたくなる・・・・・
彼の経歴を追ってみよう。
1963年1月26日生まれ ポルトガルの Setubal で生まれている。
今年の一月で43歳というわけで、昨年は厄年だね。
彼の父親はゴールキーパーからコーチになった人だ。
モウリーニョ自身も、父親の影響でサッカー選手になることを目指すが、23歳でプロ選手になることをあきらめている。いわば落ちこぼれだ。そう、モウリーニョは、プロ選手の経験を持たないコーチなのだ。
1987年ぐらいから、彼はサッカーコーチを目指して勉強をはじめる。彼がコーチ学を最初に学んだのは、英国のスコットランドだ。
(母親に言われてビジネススクールにいくが、これは一日でやめてしまった。まあ、母親というのはどこの国でも同じですね)
1990年から92年にかけて、フィジカルトのコーチや、ユースのコーチを経験していく。
1992年に、彼にとって大きな飛躍のきっかけがやってくる。イングランドの名監督ボビーロブソンが、ポルトガルリーグの監督(スポルティング・リスボン)になったとき、モウリーニョは、ロブソンの通訳のポジションを得るのだ。モウリーニョは、5ヶ国語を操れたそうだ。英国でサッカーを学んでいたことも、ロブソンに選ばれるきっかけのひとつだっただろう。
1996年には、ロブソンにくっついて、スペインのバルセロナへと移っていく。ロブソンが途中で去っても、モウリーニョは次の監督、ルイスファンファールにも重用され、アシスタントコーチになる。ここでは、カップ戦の時などに、監督代行を任される。
2000年には、一時的にポルトガルのベンフィカというチームの監督になるが、これは9ヶ月で職を解かれてしまう。最初から成功するわけではないのだ。
2001年、ポルトガルに戻って、ウニオン・レイリア(Uniao Liria) というチームの監督をして上位に食い込む。
2002年1月にポルトの監督に就任。3位で最初のシーズンを終える。
2003年ポルトを3冠のチームにする。このときの、3冠とは、UEFAカップ優勝、ポルトガルリーグ優勝、ポルトガルカップ戦優勝、という3つである。
そして、2004年、国内リーグを制覇し、同時にヨーロッパ・チャンピオンズリーグでも見事に優勝する。5月26日ドイツでの決勝戦で、デシャン監督が率いるモナコを下して、ビッグイヤーと呼ばれる優勝カップを手にする。
そして、2004年の6月にチェルシーの監督に就任する。
最初の記者会見での「私は特別だ」発言に、英国のメディアが噛み付いた。英国のメディアは、モウリーニョに対してとても神経質に反応した。傲慢な彼の態度が、鼻につき、「傲慢=Arrogant」という単語が英国の記事にも目立った。
モウリーニョは、本当に傲慢なのだろうか?
しかし、彼の経歴を見ると、若い監督ながら十分な経験をつんでいることがわかる。
順風満帆とはとてもいえなくて、挫折を経験しながら、一歩づつステップアップしていることも見て取れる。何のバックグラウンドもない青年は、勉強と経験をつみながら、必死に今の地位を手にしたのだ。
選手経験のないモウリーニョは、キャリアを向上していく過程で、次のようなサイクルを必死に駆け上ってきたのではないだろうか?
「自分を売り込む」→「必死に実行する」→「結果を出す」
はっきりと自分を高い実力を持った人間だと宣言することから、新天地での仕事をスタートする。そして確実に結果を残す。
言葉はとても大切だ。一つの発言が、その人の印象を大きく左右する。まして、それがサッカーの母国に来て最初の記者会見であれば、なおさらだ。その言葉の重要性は図り知れず、目の前の記者たちだけでなく、ファン、選手、スタッフにも影響を与える。
モウリーニョが、ただ傲慢なままにその発言をしたのだろうか? そんことはないだろう?
おそらく彼は、その影響度を意識しながら、その「私は特別だ」発言をしたに違いない。
新天地で、選手やスタッフに向けて、しっかりと自分の価値を示したのだ。記者というフィルターを通して、より強烈な印象を伝える。
間違いなく彼は、いつも彼がそうしてきたように、新天地で計算しながら最初の言葉を発したのだ。
ところで、あなたは?
客先で、転職の面接で、はじめての仕事場の自己紹介で、自分の実力をはっきり言葉で示してきましたか?
僕は・・・モウリーニョと同じ年の僕は、彼とは反対にとても控えめに自己紹介をしてきました。
でも、どうなんだろう? 変わってきた日本で、そんな謙虚な自分を少し変えてみてもいいのかもしれない。
モウリーニョの発言を見て、ふとそんなことを考える。
「自信を持つことは大事だ。だけど傲慢はよくない」 "Confident Yes, Arrogant No"
彼は別のインタビューで、そう言って笑っていた。
[投稿者: nori : 2005年5月 4日 09:31]
前の項目:長谷川健太の実感
次の項目:モウリーニョ そのコーチ哲学
投稿者 ティー : 2005年9月23日 22:59
はじめまして、ティーと申します。
私はサッカーはよく知らないのですが、
たまたま勧められてモウリーニョさんの本を
読んだらすごくおもしろかったです。
詳しく知りたいと思って検索したら、
このページを見つけました。
トラックバックさせていただいたので、
よろしくお願いします。