2007年12月14日
今日は楽しめたけど疲れた。これがサッカー。いい経験になりました
鈴木啓太 ACミラン戦後のコメント
レッズ対ACミランが終わった。結果は0-1でレッズが負けた。
なんかずっしりと重いものが残った。ちょっとこう「いい感じ」と「遠くを見る感じ」がまじったような、今までにない後味だ。
世界との「差」という言葉を、僕らは折にふれて使ってきたわけだけど、それはまだ本物じゃなかった。今回手に入れたのは、やっと本物の物差しだ、とそういう感じだ。
なにしろ、ゲームを見ている時、1プレイ1プレイを見る、自分の力の入れ方が今までと違った。確かに日本代表の試合とか、力の入る試合が過去にもあったけど、国境を超えたクラブチーム同士の真剣勝負は、また全然違う感じだ。
8歳の娘(サッカーをしている)と一緒にテレビ観戦をしていて「カカはカカーっていうから、ネネもネネーっていうのかな」などと茶々を入れてくるわけだが、どうも見ているこちらが真剣すぎて、娘の相手をしているような状態ではなかった。
「カカは、カが上の名前でカが下の名前なのかな?」と続くので、やれやれと思いつつ「ネネもネが名字で下の名前がネなんだよ」とウソをついて、やり過ごしたが、ああこの子は「カカ」も「ミラン」も確実に覚えたのだな、とそう思った。きっとイタリアの都市で知っているところと聞かれたら、まっさきにミランと答えることになるのだろう。
8歳の女の子だけでなく、今回の試合、僕らの方にはとても大きな記憶がたくさん残った。
普段、鈴木啓太は、負けた試合の場合、「結果がすべてだから」と多くを語りたがらなかった。でも、今回は負けた試合なのに、ちょっと違った。
ビデオを見た時には何となくあったけど。あ、そうきたかという感じ。1人1人のキープ力も高い。そこはすごいなと思った。今日は楽しめたけど疲れた。これがサッカー。いい経験になりました
鈴木啓太 ACミラン戦後のコメント
多分、鈴木啓太の中には、ジンジンとするものがずっと残り続けていくのだろう。
「これがサッカー」という啓太の何気ない一言も、「本物に近づけた」という実感のようなものがまじっている。
鈴木啓太は確実に、自分の中に世界との距離を測る、目盛りの入った「物差し」を手に入れた。今年もっとも成長したこの選手の、来年がまた楽しみになってきた。
ちょっと思ったのは「これが始まりだといいな」ということだ。
何のはじまりだろう?
それは、浦和レッズやJのチームがやがて国境を越えていくことだ。
それが言いすぎだとしても、世界のクラブチームとの物差しがもっともっと増えていけば、日本のサッカーのレベルも上がっていき、やがてヨーロッパの強豪を倒す日も来るだろう。
もちろん、それは簡単なことでないし、当面はこの一年ごとのクラブワールドカップしかその舞台はない。その前にアジアを超えないといけないわけだし、もしそれを超えたとしても一つのJのクラブが、たった1試合できるだけだ。
それでも、昨日の試合を見て、ヨーロッパや南米の強豪チームとの真剣勝負は、もっと続けていきたい、という気持ちが残った。
世界との距離を縮めるには、真剣勝負を繰り返すしかない。
ACミランはともかく、サッカーのレベルなら、少なくともヨーロッパの中堅ぐらいの力は、日本のクラブチームも、持っているんじゃないか?
そんなことも考えるが、何しろそれを図る「物差し」はまだ一つしか手に入れてない。
今日の試合は特別な意味を持つ試合だった。われわれはかなりミランを苦しめることはできた。それはまさに今日の試合の説明になると思う。ただ今日の試合の結果だけで、日本のサッカーがイタリアのそれに近づいているのか、あるいは日本代表はイタリア代表に近い力を備えているのか――そういったことは言えない。
ACミラン戦後のオジェック監督のコメント
今回、この勝負はそれほどヨーロッパのメディアには伝わらなかっただろう。伝わっても、さざ波のように忘れられてしまう程度だ。でも、これを積み重ねていけば、やがて、浦和レッズや他のJのクラブの名前が、国境を超える日が来るかもしれない。
それは短期的にはこの大会で、ヨーロッパのチームを破る、ということでやってくる。そのとき、舞台は日本ではなくて、ヨーロッパに舞台を移して、ということになっているかもしれない。
いつか真剣勝負でヨーロッパの強豪を破りたい。
この試合に負けて悔しいが、いきなり一発目で勝ってしまうより、こういった戦いを続けて、本当の意味での勝利をつかむ日を待ちたい。
サッカーをよく知るあちらの人々が、Jのクラブは強い、という実感を持つような、そんな日が来ないだろうか?
そして、ドイツやイタリアの学校で、先生に日本の知っている都市の名前を聞かれた子供たちが、「東京」ではなく、「浦和」や「川崎」と答える日が来たらいいのに、とそんなことを思った。
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