モドリッチ スパーズがちょうどいいのかもっと上を目指すのか?

ファーガソンは私に言ったんだ。『モドリッチがあまりに素晴らしかったから、我々はシステムを変更しなければいけなかった』とね
3月1日 カーリングカップ後のハリーレドナップ監督のコメント

最近、僕はモドリッチについて考えることが多くなった。考える、というよりも、ふとした瞬間にモドリッチのプレイする姿が浮かぶのだ。最近のモドリッチのプレイが印象的で、頭から離れないのだ。
モドリッチは、昔の少女漫画のわき役のように細くてきゃしゃな印象がある。フィールドに倒れ込むと、クラスで不良たちに意地悪をされているように見えるのだ。
しかし、それは外見から来る印象にしか過ぎず、見続けているとマークが厳しい中でも、うまく対処しているのがわかる。
モドリッチは、クロアチアリーグでプレイしていたが、そこは相当に激しい場所だったらしい。
「クロアチアリーグでプレイできれば、大抵のところは大丈夫だよ」
フィジカルについて、モドリッチはまったく心配していなかったのかもしれない。
モドリッチが、トッテナムホットスパーズで、存在感を増すにつれ、そのプレイのバリエーションに目を奪われる。
少し後方に下がれば、試合全体のリズムを作るように、タメを作ったり、パスを短くつないだり、時には長い正確なパスを前線に通したりする。
その一方で、ゴールに近づくと、狭く難しいエリアほど、モドリッチのプレイが冴えわたる。味方がボールを奪われれば、汗を感じさせないハードワークで、守備をこなす。
そして、一対一で対峙した時に見せるドリブルやフェイントは、微妙なタイミングで、相手を交わしていく。ゴールに向かって切れ込んでいくと、フィニッシュまで持ちこんでしまう。
デコのように試合全体のリズムを刻む力がありながら、一方で、狭いエリアでも、決定的な仕事を創り出すゲームメーカーの要素も持っている。
サイドにいても、ペナルティエリアにいても、次の展開が読めない、そんな観客を魅了する力も持っている。そしてフィールドを走りまわる姿は、ネドベドを思わせる。
何か一つが突出してすごい、ということはないが、全てのプレイで一級品の輝きがある。
冒頭で取り上げた言葉は、3月1日のカーリングカップの両チームの対戦の後のコメントだ。素直にモドリッチのすごさを伝えたいレドナップ監督の姿が浮かぶ一方、ファーガソンがモドリッチを獲得したくてウズウズしているような感触も伝わってくる。
ルーニーといい、ロナウドといい、敵のチームでマンチェスター・ユナイテッドを翻弄した選手は、ファーガソンが欲しがる傾向がある。
だから4月25日に行われたマンチェスターユナイテッド対トッテナムホットスパーズの試合は、世間的には優勝の行方を占う一戦だったが、僕としては、モドリッチがどれだけできるのか、という点の方が注目だった。
前半は0-2でスパーズがリードした。これは正直、願ってはいたが、予想外という展開だった。そして、2点目を決めたのは、モドリッチだった。
試合内容だけ見れば明らかにマンチェスターの方が上で、スコアは逆になるべき試合だった。それでも、マークをしたはずの、モドリッチをユナイテッドは抑えることができなかった。
これはひょっとしてスパーズの勝利か、という予感を抱きながら迎えた後半は、しかし、まったく違う展開になった。
ファーガソンは、後半に大きく修正をほどこしてきた。後半からテベスを入れて、ほどなくスコールズも投入した。
戦術的な解説をする力量が僕にはないし、審判が下したPKの判定が、大きく貢献した点もありそうだが、いずれにしろ後半、ロナウドとルーニーに、明らかに余裕が出て、終わってみればスコアは、5-2というスパーズが王者に力負けした、という結果になった。
そして、後半を通して、モドリッチは、ほとんど何もできずに終わった。
スパーズは、最近チーム状態はよかった。それでもユナイテッドには完敗した。モドリッチはこの結果をどう受け止めただろうか、それが僕は気になった。
モドリッチにとって、もしヨーロッパでの高いレベルの試合を望むなら、もう一段上のクラブでプレイしなければ、という思いを強くさせる試合結果だったようにも思う。
モドリッチが来シーズン、ビッグクラブに移る可能性は高いかもしれない。この才能を、どの監督もほっておかないだろう。モドリッチ本人も、求められれば、さらに一段上に、という思いは強くなる気がする。
ただ、僕は彼がさらに上に上ることに関して、少し複雑な気持ちだ。
うまく言えないが、たとえば、ベルバトフは、スパーズにいた時の方がよかった。ユナイテッドにいても、悪くはないのだが、限定した役割をこなすプレイヤーになってしまっている。スパーズにいたころのベルバトフは、もっと試合全体にわたって存在感を見せていた。
ロビーキーンもそうだ。リバプールに移っても、うまく力を出せずに戻ってきたが、今は決定的な仕事をするプレイヤーに戻っている。
モドリッチは、ほっておくと、階段を次々にのぼっていきそうだ。ビッグクラブでは限界があるとは決して言いたくないのだが、スパーズというチームのサイズでこそ、モドリッチは、試合全体、チーム全体のリズムを刻む存在になれるような気がして仕方がない。
僕が悩んでも意味がないのはわかっているが、少なくとも、もう2シーズンぐらいは、スパーズで、チェルシーやユナイテッドを手こずらせるようなプレイを見せてほしい。


【関連記事】
ハリー・レドナップの部下になら、なってもいいかな?
アレックス・ファーガソン チャンスの尻尾をつかまえろ
ファンデ・ラモス 監督人生で最大のチャンスとピンチ
ベルバトフ スペースの違いが分かる男

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>