三浦泰年 子供と勝つためのサッカー

それでも、勝利だけにこだわるチームが多いのはなぜか。それは、親や指導者が勝つことだけに気を取られているから。子供はその犠牲になっているのではないか。(中略)親が口を出したところで、子供が上手くなるわけではない。サッカーダイジェスト No.785 2005年6月7日  三浦泰年のサッカー斬り 第11回

勝つためのサッカーの典型を、少年サッカーの現場で何度も見てきた・・・・
三浦泰年のコラムにも書いてあるのだが、少年サッカーで、勝つためのサッカーの典型は・・・
1)うまい子、特に背の大きい子をフォワードにおく
2)他の子供は、ロングボールを後ろからぼんぼんフォワードめがけて蹴る
3)相手に対しては、マンマークをする
4)相手のうまい子には、3人ぐらいでボールを奪いにいく
こんな話を読むたびに思い出すのが、あるチーム(うちの子供のクラブではない)のコーチの振る舞い。
そのコーチは、子供のゲームの采配を取る間、ふんぞりかえってタバコを吸って大声で子供たちに指示を与えていた。
彼の発する言葉はいたってシンプルだ。
「前へ蹴れ!」
「つぶせつぶせ!」
それをたまたま横で聞いていた僕は、本当にその場に吐いてしまうかと思うほど、気持ち悪くなった。
コーチの言葉よりも、その指示を忠実に守る子供たちを見て、途方にくれた。
土のグラウンドの中で、真剣な顔で、「ロングボール」を蹴る子供たち。
子供たち同士が、やはり「前へけれ!」と声をかけあう。
そのチームは、その地域の強豪の一つだった。
でも、結構多いのです。そういうチームは。
パスをつなごうとしたり、ドリブルで持っていこうとする子供たちのチームは、こういったロングボールタイプには、決まって弱い。
小学生の大会では、グラウンドのコンディションも悪く、パスをつなぐのに、決して適しているとはいえない。
僕の子供のチームも、とにかくよく負けた。
親たちは、そのたびに悔しがり、「コーチが駄目だからだ」と声高にいう親も実際いた。
最初の時期は、僕だって子供が負けるのを見るのは、悔しかった(まあ今でも相当悔しいのだが)。
自分がサッカーをしても、これほど悔しくはない。子供だから悔しい。
親のこの感情は、どうにもコントロールができない。
でも、そのうちに気づいたことがある。
子供たちは、結構さばさばしている。そして、パスをつなぐうちに、下手だった子が、うまくなっているのがわかる。
「あれ? あの子、あんなにボールがうまくトラップできるようになったんだ?」
ドリブルに緩急をつける子。ボールを散らすのがうまい子。敵をいなすようなフェイントをかける子。
少しづつ少しづつ、前に進んでいくチーム。
それでも、一発のカウンターで負けてしまう。
ある日、そんな典型的な勝つためのチームに負けて、グラウンドで悔しがる子供たち。
そこへ審判がつかつかとよってきて何かを子供たちに話しかけた。
「なあ、あの審判、お前らに何を言ってたの?」
僕がそう尋ねると、当時、小学生だった息子は答えた。
「君たちは負けたけどいいサッカーをしているって、そう言ってた」
なるほど。
「よかったじゃないか? わかってくれる人がいて」
「関係ないよ。勝てなきゃしょうがないよ」
彼はむっとしていた。
いや、そんなことはないんだな。お前らは、確実にうまくなっているよ。
でも、言葉で伝えるのは、難しい。
この年代に、パスをつなぐ、ドリブルをする、そういうことが、とても大切なんだ、と・・・・・

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コメント

  1. ももも より:

    わかる。本当にわかる。
    強いチームの多くがこんな感じですよね。
    うちの子供のチームも一時そんな風なサッカーをしていて
    ちょっとだけ強かったけれど、誰も楽しそうじゃなかった。
    SLクラスなんだから、これぐらいの時期は本当に楽しいかどうかだけじゃないのかな?
    大声でどなったり、大勢の前で失敗をあげつらなったりする
    コーチはやっぱり多いですよね。
    特に選任のコーチがいるような大所帯のチームには・・・。
    楽しみながら基礎を覚えていけるのが一番だと思います。
    先日の試合で強いと言われながら、予選で敗退してしまいました。
    子供達もコーチも、そして親達も。なぜかせいせいした顔つきで帰っていきました。
    ようやく呪縛から解放されたのかな?
    ちょっと勝ち続けただけで、
    誰もが妙な期待を抱くので、コーチも厳しくなるし
    親もプレーにけつを付け始めて・・・。
    今思えば子供達はかわいそうだった。
    弱くてもいいので、昔みたいに自分の子供が目を輝かせながら
    「今日の練習はねぇ・・・。」って言ってくれるのを期待しています。

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