山本浩アナウンサーの言葉

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試合を終えた選手はいくつもの風船を持って戻ってくる。達成感、安堵の思い、強い反省、しくじりの記憶。どの風船の内側にも強い空気が満たされている。インタビューはそんな風船を割っていく行為だ。(中略)この日、カズが持ってきたのは大きな気球だ。中を満たすのは、ブラジルに渡って以来23年間にため込んだ空気。Number 625 創刊25周年特別編集号 4月21日号 山本アナウンサーのカズへのインタビューから

・・・・頭の中にビジュアルなイメージが浮かぶ言葉・・・山本アナウンサーの言葉はいつも、具体的なイメージを頭の中に描き出します・・・・・・
25周年記念のナンバーに、カズのインタビューが載っています。
もちろん、その内容はカズらしく素晴らしいものなのですが、驚いたことに、その聞き手の言葉の方が、僕に強い印象を残します。
何気なく読んでいる僕は、聞き手が誰か、わからずに読み進みます。
聞き手がカズに聞きます。
「ハシェック体制下では、なかなかベンチから芝の上に入っていけない時期があったでしょう?」
この何気ない言葉から、芝の上のプレイをベンチからじっと見つめるカズの姿が浮かんできます。彼のジリジリとした思いも一緒に、頭の中にクリアにビジュアル化されるのです。
「このインタビュアーはすごいな・・・いったい、誰がカズに聞いているのだろう?」
と思うと、最後のページには山本アナウンサーの写真が載っていました。
納得。
彼の穏やかな顔を見たとたん、8年前のフランスW杯の最終予選の苦しかった日々を思い出します。ふがいない闘いで迷走した日本代表とともに、彼の実況は、思わず僕をうるうるとさせます。いまだに・・
フランスW杯 アジア最終予選  長い戦いの最初のゲーム
『日本代表 vs ウズベキスタン代表』  (1997年9月7日)

「あれから4年の歳月が流れました。胸に宿るものが、今また、この瞬間に燃え上がろうとしています。国立競技場に吹いているのは、西からの湿り気を含んだ風。遥かにフランスを想いながら、長い戦いの始まりです。 」

フランスW杯 アジア最終予選  自力での出場がない中、宿敵韓国のホームで・・
『日本代表 vs 韓国代表』  (1997年11月1日)

ソウルの街は 秋の静けさの中です。ただチャムシルのスタジアムの空にだけ、7万人の大歓声が波打ちながら吸い込まれていきます。ワールドカップアジア最終予選、韓国はいま日本を待ち受けています。日本は引き分けという長いトンネルに入ったまま走り続けています。しかし、このトンネルには必ず明るい出口があると信じて戦わなければなりません。いつもの柔らかいサッカーで、激しく戦ってくれるはずです。

フランスW杯 アジア第3代表決定戦 ジョホールバルで延長戦に入り円陣を組む日本代表とスタッフ
『日本代表 vs イラン代表』  (1997年11月16日)

このピッチの上、円陣を組んで、今、散っていった日本代表は、私たちにとって「彼ら」ではありません。これは、私たちそのものです。

ああ、まいったね、どうも、泣けてきます・・・
※さらに詳しくは、山本浩アナウンサーの実況中継オープニング名ゼリフなどをご覧ください。

コメント

  1. サッカー実況なら山本浩!

    今日は日本対オーストラリア戦。けれども今回の記事は現在NHK解説委員の山本浩アナについて。この人の面白さは以下のページに詳しく書いてあるので読んで笑って欲しい。…

  2. diary より:

    NHK の山本浩さん

    番組表見た限りでは 今回もぜんぜん実況してくれないようですね。 解説委員なんての…

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