ユースの試合は面白いです

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ほら、ボールをもらうために動いてー!クラブユースを見ていたお母様の言葉

U-18のクラブユース準決勝を三ツ沢競技場で見てきた。三ツ沢や西が丘で試合を見るのはどんなレベルでも楽しい。
フィールドの選手の声がきちんと聞こえ、選手がぶつかり合う音がこちらまで響いてくる。日産スタジアムよりは何倍もサッカーの喜びが伝わってくる。
もちろん、そんなに頻繁に行けるわけではないし、知識もないので、あまり偉そうにユースのことが語れるわけではない。今回も準決勝だけをなんとか観戦できた。
準決勝の二試合は、ジュビロが広島に延長戦の末に勝ち、ガンバがジェフに勝った。
試合会場に足を運ぶのは、勝ち負け以上に、一人ひとりの選手の存在感がわかるからだ。
事前に選手たちの情報を入れずにフィールドを見て(まあ知らないだけなんだが)、自ずと印象の強い選手を見つけるようにしている。
圧倒的だったのは、ジュビロのボランチの山田康裕で、見事なミドルシュートを見せてくれた。「ダッ」という瞬間的な音が聞こえたと思うと、次の瞬間にゴールネットが揺れている。キーパーはボール方向に飛ぶのだが、指を触れることすらできない。
ゲーム中のポジショニング、玉さばきも風格のようなものがあった。プレイのスピードが遅くないのにゆったりとした空気が漂う選手がいる。彼はどうも、そういった選手の一人のようだった。
後から聞くと、すでにJでデビューをしているという。今後の活躍を見守りたい。
それ以外にも、存在感のある選手は何人もいた。中にはジュニアユースの試合でも見かけた選手もいた。しかし、僕の評価が当てになるわけではないので、密かな将来の楽しみにしておきたい。
さて、クラブユースの試合は、世に言われるほど、ガチガチのサッカーかというと、そうではない。
声を上げるほどのミドルシュートがあり、ペナルティエリアでの個人のチャレンジがあり、ディフェンスを振り切って駆け抜ける疾走感もあった。
それでも、全体的には「今のサッカー」が目の前にあって、ボールと人がめまぐるしく動き、ワンタッチでボールをつなぐ、あるいはその相手を、二人三人と連動した守備が阻むという感じだった。前線の選手のハードワークもいまや当たり前だ。
多分、目の前のサッカーは相当にレベルが高いはずだし、やっぱり本気の戦いだから相当面白い。しかし、サッカーの高いレベルに反して、観客席は空席が目だった。まだ三ツ沢の1割2割という感じだ。
ゴール裏には少しさびしい数のサポーターがちゃんと太鼓を持って陣取り、メインとバックスタンドは、同じ年代か下のサッカー少年たちと、家族と思わしき人々が席を埋めていた。
驚いたのはジェフのお母様たちのかける声のレベルが高かったことだ。小学生や中学生の大会では、「いけいけー」とか「走れー」とか「何で最後までいかないのよ!」とか、ボールを中心に声をかけていくのが普通だ。
しかし、今回三ツ沢で僕の背中ごしに聞こえていたお母様たちの声は違っていた。
コーナーキックの判別とオフサイドの判別はほぼ完璧で、審判よりも早いのにまず驚いた。そして「ほら、ボールをもらうために動いてー!」とか「スペースを見て」とか「ほら左がフリーよ」とか、複数のお母様が、オフザボールの選手の動きに声をかけていた。
中には「慌てちゃ駄目、ボールをいったん落ち着かせて」なんていう、試合の流れを読みきった声もあった。
小学校のころから息子のサッカー観戦に足しげく通ううちに、自然とそういった戦術眼が養われていったのではないかと想像する。ちょっと素敵な感じだった。
一方で、この年代の最高峰のゲームにしては、同年代の女の子の姿がほとんど見られなかった。この年代で女の子の応援があると、よい影響ばかりとはもちろんいえない。
自分がモテモテになっていることを想像して、前日の睡眠が足りなくなったり、マタギフェイントを少し多めにやってボールを奪われてしまう、といったこともあるだろう。
一方で、ゴールに近づけば、自分がヒーローになるんだという「よい意味でのエゴ」が出るかもしれないし、女の子がいるサイドを全速力で駆け抜ける、という普段出せない力も発揮できるだろう。
日本の女の子は、「クイーン」という不滅のロックグループを早くから発掘したように、ヒーローの匂いを世界一正確にかぎ分ける。そういったヒーロー発掘の才能が、格段に高い日本女性たちを、ユース年代の試合会場にうまく招けていないのは、日本サッカーにとって損失かもしれない。
なんで女の子が少ないんだろうか、とかつて女の子だったお母様にたずねると「格好いい男の子が簡単に見つけられないんじゃないかな」との発言。もう少し掘り下げて聞くと、はじめての人にとって、今のサッカーがどんどんわかりにくくなっている、という指摘だ。
今回のガンバ対ジェフなんかは典型だが、あまりにめまぐるしく動くので、人の顔や雰囲気をじっくりと捉えることが難しい。ポリバレントでハードワークな現代のサッカーは、「王子」を生み出しにくい環境を作っているのかもしれない。
とはいえ、地域の女子高を応援に誘うなんていう発想は、真面目にサッカーを進めるクラブ側には無いだろう。わかりやすいように、サッカーを個人技中心の古いレベルに戻せ、といっても笑われるだけだろう。
健全な方向としては、目の肥えたサッカーファン、トップチームやヨーロッパサッカー好きのファンが、ユースにも足を運ぶ、ということがよさそうだ。しかし、そうなるには、ちょっとまだ時間が必要な気もする。
この夏、いつものようにあちこちで中学生や高校生のサッカーの大会が行われている。高円宮やクラブユースというトップレベルの戦いもあれば、そういったところにいけなかったチーム同士の大会も行われている。
日々の仕事が忙しくて、あまり偉そうなことを言える立場ではないし、僕一人が行って彼らが喜ぶとも思えないが、まあ、それでも、、、、
この夏も、できるだけそういった会場に足を運ぼうと思っている。

コメント

  1. サッカーショップ

    ユースの試合は面白いですそれでも、全体的には「今のゅ

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