チェルシーの好調の要因はグラント監督?

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「ジョゼ・モウリーニョ(前監督)が去ったとき、みんなは僕らがもうダメだと言っていた。でも、最も厳しい時期は通り過ぎたように思う。」
シーズン終盤ドログバの発言 2008年04月19日 Goal.comより

ずっと気になることがあった。眠れないほどの悩みというわけではないが、何度も首をかしげていた。
そう、モウリーニョのいないチェルシーが、ずっと上の順位にいることだった。
オーナーのわがままで、モウリーニョを追いだした。そんな悪玉チェルシーが栄光を手にするはずはないと、それは当然の報いのように思えた。早々と優勝戦線から脱落して、チャンピオンズリーグも早期敗退、話題は選手たちの去就と来期の監督だけ、、、
本来ならそんなシナリオが似つかわしいように思えた。
しかし、春になってもチェルシーの順位が落ちない。チャンピオンズリーグも脱落しない。
「まさか、チェルシーの二冠で終わりなんていう話はないよね?」
まさかねぇ、と言いながら、また首をかしげた。
カーリングカップというイングランドのカップ戦の決勝で、トッテナムにチェルシーが破れて、ジーコのフェネルバフチェにチャンピオンズリーグの第1戦で負けたあたりは「やっぱりね」という感じだった。
アヴラム・グラント監督の顔がテレビに映るたびに、正直がっかりする感じがあった。
お腹は出ているのに、なんだかオーラだけ誰かに吸い取られてしまった後のようなやつれた顔をしている。
「失礼ながらこの人じゃ無理だよ」と、それは言葉に出すまでもないように思えた。
「監督」でチームや選手がすっかり変わる姿を繰り返し見てきた。サッカーにおいて監督の力は圧倒的だ。逆にオーナーのわがままで、チームが低迷する姿も繰り返し見てきた。
チーム力 = (選手層 x 監督の力量) - オーナーの我儘の二乗
このサッカー界の法則にのっとれば、チェルシーの混乱度はこれまでに例を見ない規模になることが予想された。
しかし、今やプレミアリーグのチェルシーの順位は、勝ち点差で首位のマンUに並んでいる。チャンピオンズリーグも、因縁のリバプールを破って決勝進出だ。
しかも、決勝の地はオーナーの国の首都モスクワ。
ひょっとして、オーナーにとっては、二冠と凱旋勝利で言うことなしって展開?
チェルシーの好調にはもちろん理由があるはずだ。
ひとつはもちろん、アヴラム・グラント監督が「実はあなどれない」という話。
こうやって結果が出てくると、そこかしこに「グラント実はすごいかも」という記事が出はじめる。
選手起用を見ても、当初予想された富豪アブラモビッチのあやつり人形という感じは意外にない。オーナーの意向で、シェフチェンコを出し続けるかと思うとそうでもない。
基本的なサッカーはモウリーニョとそれほど変えずに、ラインを少し高めに設定し、放り込まずに、ビルドアップを少ないタッチ数で組み上げる。試合によっては、超現実的なモウリーニョよりもよい、という評価も出始めた。
もう一つは「参謀でしょ結局」という話だ。何しろ参謀は、好調期のバルサを率いたテンカーテだ。
監督は腰掛けで、実際に現場を仕切っているのはテンカーテという話は間違いないところだろう。攻撃に転じたときの、選手の距離感とか、その辺はテンカーテの仕切りだろうと思えた。
つまりさっきの公式の「監督の力量」のところがこんな感じになるわけだ。
監督の力量 = 「グラントあなどれない」+「テンカーテでしょ結局」
しかし、実はこの話にも納得できていない。
だって、モウリーニョが抜けた後、チェルシーを見放して、モウリーニョの行くチームについていく、そんな声がドログバだけでなく聞こえてきたくらい、チームの崩壊は進んでいた。選手のモーチベーションは最低だったはずなのだ。
そのモーチベーション最低のはずのドログバが発言する。

「僕らは首位との差をひっくり返すことができる。ジョゼ・モウリーニョ(前監督)が去ったとき、みんなは僕らがもうダメだと言っていた。でも、最も厳しい時期は通り過ぎたように思う。僕らが見せたハードワークは、勝者のメンタリティを示していたはずだ」

もし、そうなら、これは素晴らしいことだ。オーナーでもなく、監督でもなく、選手たち自身が自らの手で勝利のメンタリティーを作りあげていく。
ドログバだけでなく、今や選手たちのモーチベーションは、最高レベルに来ている。
(ランパードのお母さんが亡くなったとこも、彼らの絆を強めている)
バラックを中心に、ここ数試合の彼らのプレイは、決して混乱したチームのものではない。明らかに勝者のメンタリティが感じられる。モウリーニョのようなすぐれた監督がいなくても、これだけ意識の高い選手が集まれば、自然と勝利に値するチームが出来上がる。
それは素晴らしいことだ。
しかし、若干悔しいのは、あのオーナーにも、栄光がプレゼントされるかもしれないことだ。もとはといえば、深い信頼関係をつかんだ監督を追いだしたやつじゃないのか?
なんかふに落ちないので、もうちょっと妄想してみよう。
実はアヴラム・グラントは、「オーナーの我儘」の毒消し役になっているのではないだろうか?
彼がやつれているのは、選手を守るためオーナーの我儘を日々マメに吸い取っているからじゃないだろうか?
監督本来の力量は低いが、オーナーの我儘を消す役割を担ってくれている。
戦術的には、テンカーテが十分メンテナンスしてくれている。
そのためにプロ意識の高い選手たちのモーチベーションの純度が、高まる環境がいつの間にか出きていたのだ。
そういえば、チェルシーの勝利が重なるごとに、アヴラム・グラントの毒気が弱まり、影もどことなく薄くなっていくように思える。勝利インタビューの冗談も切れが悪く、笑った顔も、ひっそりとして影が薄い。
モウリーニョが去ったのに、奇跡的にチェルシーのピークが訪れるかもしれない。
素直に受け入れがたいその事実も、これなら納得できる。
嫌な感じだったアヴラム・グラントの顔が、愛らしい妖怪のように見えてきて、彼がシーズン後に姿を消しても、空に描くことができそうだ。

コメント

  1. オオニシ より:

    こんにちはオオニシです。
    大のリバプールファン(正確に言うと、ジェラードのファン)である私にとって、過日の結果は目を覆いたくなるものでした。
    が、チェルシーがとても良いチームになってるということも感じましたね。
    シーズン当初はバラックもランパードとフィットせず、前線とのバランスも悪いと思ってたのに。
    マンUの今年の強さはホンモノなので破るには相当のパフォーマンスが必要かもしれませんが、今のチェルシーなら可能性はありますね。
    モスクワだし。
    チケットをすべてアブラモビッチが買い占めるだろうと言ったファーガソンのジョークもまんざらウソじゃないかもしれませんしね。
    ちなみにグラントさんが就任したとき、「誰?」というのが私の第一声でした。
    それが正直なところ。
    でも、ベニテスがチェルシーを称えていたのは気持ちがよかったです。
    長々とすいません。

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