ゴンのPK

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ただ、コースを狙って後悔するよりも(思い切り蹴ったほうがいい)という部分が自分自身にあったので
ジュビロ磐田公式ホームページ 2005 J1第26節 東京ヴェルディ1969 vs ジュビロ磐田 中山選手のコメント2005年10月01日(土) 15時04分キックオフ 味の素スタジアム 観衆 35,257人

ゴンがPKをはずした。
優勝戦線に踏みとどまりたいジュビロにとって、はずしてはいけない一発を、ゴンは思いっきり蹴った。そして、逆に大事な勝ち点を奪われる結果に・・・・
でも、これはもう生き方の問題だものな、とその場面を見ていた僕は思った。
2005年度のJリーグも終盤戦になってきた。優勝争いをする首位ガンバと、それを勝ち点差1ポイントで追うアントラーズ。10月1日のこの日の、注目ゲームは、なんといっても、優勝争いに絡みたいジェフと、アントラーズのゲーム。
それに比べれば、ジュビロ対ヴェルディの試合は、注目度は見劣りする試合だった。少しうたた寝気味に僕はゲームの行方を追う。
しかし、そういう試合にも、気まぐれなサッカーの神は舞い降りる。
ゲームは、めまぐるしく動く。
ワシントンが決めて、ゴンが決めて、ワシントンが決めて、ヴェルディのジウが決めて、、、ジュビロの成岡と西が決めて、そして、右サイドの太田が美しいカーブの弾道のゴールを決める。そのボールに対して、手をいっぱいに伸ばすヴェルディ高木の反り返った姿がいつまでも目に残るゴール。
この時点で、3対4で、ジュビロが1点リード。これでもゲームは終わる気配がない。
ロスタイム突入。ジュビロ成岡がペナルティエリア内でドリブル、後ろから引っ張られてPKの判定。スタジアムを包むため息と歓声。
中山がペナルティエリアにボールをセット。これがおそらく最後のプレイになるだろうし、ジュビロの勝利は動かないと思われた。
でもね、ここからがこのゲームのまさにクライマックスだったのです。
ゴンがPKを蹴る。思いきり蹴ったボールが、ゴールバーを直撃。ボールは、きれいに跳ね返って、そのままカウンター気味に、ヴェルディが広い、まっすぐにゴールに向かって運ぶ。そこで、ヴェルディの選手が倒され、ファールを得て、ゴール右45度の絶好の場所からフリーキック。
今度は、ワシントンがボールをセットする。
もしかしたら、と一瞬、そんな気がしたようにも、思うが、ワシントンが蹴って、ボールが壁の影になって消えて、川口が右に飛んで、そして、すべてが一瞬で過ぎたあと、ボールはゴールの中にあった。
空にいる神に向かって吼えるワシントンが画面に大写しになる。ジュビロディフェンダーに、マークされまくった末のハットトリック。最後は試合終了間際の劇的な同点。
結果は、引き分けだが、これ以上にドラマチックな引き分けは、今後ないかもしれないと思うような、神が宿った見事なゲームだった。
ワシントンもすごい男だ。この男は神に通じてしまう力を持って生まれてきたのだろう。
けれども、ゲームが終わり、時間がたてばたつほどに、印象が強く残るのが、ゴンのPKだ。
もともと下手糞な男が、何も考えずに、思いっきりPKを蹴りこむ。まっすぐなボールがゴールバーを直撃する。
本心を言えば、「まっすぐであれば、失敗しても、それでよい」 というロジックの欠如した男っぷりを、僕は、どっちかというと嫌っている。
それでも、そのゴンの見事な失敗振りは、別格だ。
その日の、ゴンのPKは、要するにゴンの生き方なのだ、とそう噛み締める。

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