カズ サッカーはミスのスポーツ サッカーの言葉メモ

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サッカーはミスのスポーツ。本当に相手を崩しての得点なんて何パーセントあるだろうか?
日本経済新聞 2009年3月20日のカズのコラム

少し前になるが、日経新聞コラムで、「サッカーはミスのスポーツだ」という一文をカズが書いていた。サッカーの多くの得点は、ミスから生まれている、という話だ。

「サッカーはミスのスポーツ。本当に相手を崩しての得点なんて何パーセントあるだろうか?(中略)自分たちで起こしてしまった事は自分たちで乗り越えていくしかない」

確かに、そうなのだろう。このカズの言葉を読んで以来、僕はサッカーの試合を見るたびに、ミスに注目して見るようになった。そうやって見れば、確かに失点の危機が、ミスから生まれる確率は高い。
なるほど、ミスはミスだから、いけないわけだし、それを克服していくことが大事なのだろう。しかし、一方でミスを恐れてはいけないし、これだけ不確実なスポーツで、ミスを犯さない選手はいないだろう。
そこはどうなんだろう、と思っていると、雑誌ナンバーでストイコビッチ監督が次の言葉を言っていた。

「私はテクニック面でのミスに関してはしょうがないといつも言っている。この種のミスは世界のトップクラスの選手でも犯すことがある。でも、戦術的なミスを犯すということは、コレクティブにプレーすることに対する意識が低いことを意味する。つまりチーム全体のことを考えていないということなんだ」
ストイコビッチ インタビュー Number725 2009年4月2日号

なるほど、明快だ。サッカーのミスにも種類があるのか、とそう思った。
しかし、一方で、そんなに明確に区別できるだろうか、という思いもあった。戦術がどれほど細かいのか、わからないが、一流の選手なら戦術を超えたプレイをするかもしれない。
そのためには、チャレンジが必要で、チャレンジにはミスも発生するだろう。
戦術的なミスと、戦術を超えたチャレンジの区別って、本当につくのだろうか?
ほどなく、浦和レッズマガジンにフィンケ監督の語録が取り上げられていた。
そこでフィンケは、若手のミスについて語っていた。

「年下の若い選手たちにとっての幸運というのは、彼らがまだミスを犯してもいいということです。(中略)そしてさまざまな経験を積んでいくことによって、若手の選手たちがピッチ上で犯すミスを減らすことができれば、彼らが本当の意味で才能を持った選手であることを証明できるだろうと思います」
Urawa Reds Magazine 2009年5月号

なるほど、ミスを減らして成長していく選手なのか、ミスが減らない選手なのかが、若手が一流になる際には大事なのか、とそう思った。
そして、この3つの言葉を並べて見たとき、カズの言葉はプロの選手としてミスを語り、ストイコビッチがチームをマネージする監督として、ミスを語っていることに気がついた。
フィンケは、どうなのだろう?
サッカー監督以上に、選手の成長を見守る教育者として、彼がミスを語っているように思えた。ミスを犯しなさい。そこから、自分で何かをつかんで成長していきなさいと。
3つの言葉を順番に並べたが、誰の言葉が上にあるとか、足りないということではない。
サッカーのミスを語る3つの言葉が、どれも深い味わいを持った言葉だった。
そう、サッカーはミスのスポーツだ。


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