ジョージベスト 女の子とフットボールと 

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「あなたにとって、どちらが幸せでしたか? 美しい女性と踊っているときと、ディフェンスを翻弄してゴールを決めたときと」
「ああ、フットボールだよ・・・・ 比べようも無いさ」

ビデオ 「The official George Best Story  ジョージベスト」よリ

ジョージベストというプレイヤーが死んだ。2005年11月25日 午後12時55分(英国時間) 59歳である。
日本では小さな片隅の記事で知らされたが、英国のメディアは彼の死であふれている。
マンチェスターユナイテッドのホームページは、すべてのトップページの記事が、ジョージベスト関連のものに変わった。今日のプレミアのゲームでは、試合前の黙祷が彼のために行われる。
彼の人気を一言で言えば、彼は、当時ビートルズと同じくらい、英国で人気があったのだ。日本で言えば、おそらくは野球の長島が亡くなったことを想像したらいいのかもしれない。

彼のプレイを見た誰もが、彼に魅了され、同じようにプレイできたら、と皆が願った。ゲームにおける彼の影響は巨大で、彼のプレイを見て、みんなが幸せを感じた。今日は、とても悲しい日だ。偉大なプレイヤーを一人失い、私は大事な友人を失った(Anyone that witnessed what George could do on the pitch wished they could do the same. He made an immence contribution to the game, and enriched the lives of everyone that saw him play. It is a very sad day. Football has lost one of its greats, and I have lost a dear friend.)ボビー・チャールトン Sir Bobby Charlton.

しかし、彼の生活は、長島のように健康的なものではなかったし、王貞治のように堅実で模範的なものでもなかった。
むしろ、彼の人生は、フットボール以上に、荒れ狂ったものだった。サッカーでヒーローになり、オフザピッチで、ゴシップのヒーローになった。
サッカーをプレイしながら、パーティーに出席し、女の子たちとデートを繰り返し、ファッションのアイコンになり、自分のブティックまでもっていた。そして酒、酒、酒。
ある日 彼の体は飽和量に達し、アルコール無しにはすまなくなった。昼間から、ボトルと一緒でなければ、落ち着かなくなり、夜にはふらふらに酔っ払った。
飲酒運転でつかまるなどの事件を繰り返し、落ちた英雄としてサッカー場を後にする。
アルコール中毒になり、数々の問題を起こし、ゴシップの対象になった。胃の手術をした後、一時は酒をやめたが、また飲み始め、再度飲酒運転で逮捕される。
何度かの結婚と離婚、最後は集中治療室に入り、長い間、危ない状態が続き、その間も、英国のメディアは彼のことを報道し続けた。

「彼は遠い場所、誰も彼を傷つけられない場所に行ったよ。彼はこれで安全になったのさ」(He has gone somewhere now where no one can hurt him any more. He is safe now.)
ジョージの代理人で古くからの友人 フィル・ヒューズ (Phil Hughes) のコメント

もちろん、僕はここ数年のサッカーファンだから、彼のプレイを生で見たことが無い。彼の名前を本で読み、ビデオを買い求めて、はじめて彼のプレイを見ることになった。
それでも、僕はジョージベストの華麗なフットボールに魅了される。「自由」で、心からサッカーを楽しんでいるのが、古い映像からも伝わってきた。
ビデオの最後に胃を切り取ったあとの、ジョージ・ベストのインタビューが流れ、その最後の質問で、インタビュアーが質問をした。
ねえ、あなたは誰もがあこがれるような、いい思いをたくさんしてきたでしょう。きれいな女の子といっぱい、いい思いもしてきたはずだよね。でさ、今になって、サッカーと女の子といるのと、どっちが楽しかったの。教えてよ・・・と。
僕は自分だったら、絶対 「綺麗な女の子」 といるほうがいいな、と思いながら、答えを待つ。
そして、彼は「なんて馬鹿なことを聞くんだ、こいつは」 という感じで答える。
「サッカーに決まってるだろ。何言ってるんだよ」
サッカーは彼の時代より進歩した。でも、彼のように楽しんで自由にプレイする選手を、しばらく見ていない気がする。

コメント

  1. フミ より:

    私はマンチェスター・Uの7番の栄光を作り上げたこの選手のプレイをビデオで見た時、衝撃を受けました。
    彼のドリブルはいまだに世界一だと思っています。彼のようにクラブでは監督やチームメイトと衝突し、私生活でも気ままに行動する選手は(私はBAD BOYと呼んでいます)、ファンからとても愛されますよね。
    マラドーナをはじめ、ロマーリオ、カントナ。そして現代ではルーニー、イブラヒモビッチ、カッサーノ。
    しかし、日本では実力に関係なく見当たらないですよね。だから、中田英寿がトップにいるときに代表召集「拒否」を一度でいいからやっておいて欲しかった。サッカーはどんな時代も選手が主役であって監督ではないということを選手に伝えて欲しかった。
    でも日本だけではなく、あのブラジルでさえおとなしい。ロビーニョがこう言っていた。
    「ロマーリオはすごい選手だが心から尊敬することはできない」
    今のワールドスタンダードはカカに代表される優等生であることにまちがいないですよね。(いつの時代もそうですが・・)だからこそBAD BOYの登場を強く期待してしまいます。
    最後に彼に対して、
    「マラドーナ good、ペレ better、ジョージ best」

  2. >日本では実力に関係なく見当たらないですよね
    なんか、協調性がないと、日本代表には結局入れない、という話を誰かからぼそっと聞きました。
    トレセンとか、クラブチームの選抜、というレベルで、「優等生」「素直な子」「問題の無い子」が選別されているような気がして、ちょっと不安ですね。
    バッドボーイ、今の日本代表候補生をみても、思いつかないですね。
    うーん、新たなコラムのネタになりそうです。

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