ジェフ千葉 ナビスコ杯優勝

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「優勝して、翌朝に何かが変わるわけではなかった。次も勝たないと何にもならないことが分かりました」
ジェフ千葉の営業担当 利渉(りしょう) 洋一さん(38)の優勝後の感想
朝日新聞 2005年11月12日(金) 朝刊  潮 智史

オシム監督のジェフが、ナビスコカップに優勝したのは、幸せな風景だった。
PK戦が終わって喜ぶ選手たちの姿を見て、「ああ、よかった」と思った。
「よかった」と安堵しただけでなく、これできっと日本のサッカーが、前に進む、とそんなふうに考えた。
この優勝が、サッカーのプレイだけでなく、運営やその他、総体としての日本のサッカーに、小さくない影響を及ぼした、とそう思える感触が残った。
僕はジェフのサポーターではない。ジェフのチームに、とりわけ好きな選手がいるわけでもない。
それでも、今年はジェフが何かタイトルを取ってほしい、と心のそこから願っていた。ナビスコカップ、というタイトルは、ちょうどよいサイズに思えた。
実際、そう願っているサッカーファンは多かったのだろう。
僕のこれまでの「ジェフを好きになってきた」順番はこうだ。
→ オシムの人を食ったような発言が面白い
→ 弱いチームなのに強いチームに勝つので面白い
→ よく見ると他のチームと全然違うサッカーをしているので面白い
→ オシムが実はヨーロッパでも有名な監督であることを知って納得する
→ 主力選手が抜けてもやっぱり上位に絡んでいるのでいよいよ驚く
→ オシムを呼んできた人は誰なんだろう、とスタッフに興味を持ち始める
→ オシムだけでなく、選手たちが不思議に存在感を持ち始めてきたことに気がつく
→ このチーム全体が作っている雰囲気が好きになる
気がつくと、満員の国立の半分以上が黄色で埋まっている中、彼らがピッチにたっている。
テレビのこちら側で、固唾を飲んでゲームの一部始終を見逃すまいと、僕は力を入れている。
日本のサッカーファンは、確かにオシムが好きだが、それ以上に、ジェフという固まり全部を好きになって、この日が来た。
いつも優勝や、受賞のシーンで、「スタッフに感謝する」 というようなコメントが語られる。
でも、そのたびに、僕は、ピンと来ない自分を感じた。なんだか、「いい子の気を使った」コメントのようにしか聞こえなかった。僕には、「スタッフ」 というのが、誰で、どういう貢献度をしているか、まったく見えなかったからだろう。
でも、上記の言葉を読んで、このジェフの優勝 それは明らかにオシムが勝ち取った結果のように見えても、その優勝を支えた「スタッフ」がいたんだな、とそう素直に思うことができた。
それが、本当にどれほどの貢献度だったか、本当にプロフェッショナリティあふれるものだったかはわからない。これまでの、集客状況を考えれば、あまり褒められたものではないかもしれない。
それでも、今年のジェフには、まわりを固めるスタッフの役割が少なくなかったに違いない。
そして、、、、繰り返しになるが、彼らの努力も重なって導き出された結果は、日本のサッカーにとてもよい影響を与えた。
そういう結果を導き出した、ジェフ千葉というチームのスタッフたちに敬意を表する。
ここで、止まらずにどんどん前に進んでほしいものです。
2005年という年を思い出すとき、僕は真っ先にジェフのナビスコ杯優勝を思い出すことになるだろう。
よいサッカーを求めると、すべてが変わっていく、ことを実感した年として・・・
「歴史には残らないけど、記憶には残るね」
そう僕の息子が言ったが、いや、そのとおり。
それから、もう一つ。
0-0のスコアレスドローが、こんなに面白い、というのは、はじめての体験だった。
とうとう、こんな点の入らない試合が面白いと思うようになってしまった・・・・
まったくの素人で、オフサイドも知らずにサッカーを見始めて、とんでもない地点にたどり着いてしまった、とつくづくそう思った。
見ごたえのある試合は、ジェフだけでは作れない。ガンバのすばらしさを付け加えるとわざとらしいが、彼らの素晴らしさは、むしろ、この試合の後のリーグ戦で見ることになるだろうから・・・ (詰めの甘い西野さんが心配ではあるが)

コメント

  1. フミ より:

    スコアレスドローの試合ではレベルの高いチーム同士だとおもしろいと私も感じます。
    イタリアでは失点とはミスから生まれるものだという考え方が基本です。その考え方からだとスコアレスドローはミスがない素晴らしいゲームだったとなる。(監督の方々の考えです)
    その考え方が優秀なGK、DFをうむ土壌となり、それを破るFWのレベルも上がるという連鎖があるんでしょう。その上ピルロを筆頭にガットゥーゾ、デ・ロッシ、カモラネージというMFが出てきたイタリアがドイツWCで勝ったのも納得がいきます。
    日本では優秀なMFが沢山生まれる土壌がありますが、試合中ぶつかることが多いのはやはりMFが多い。サイドではなく真ん中の選手が多いのも原因だと思う。
    ポルトガルもかつてはそうだったが今強いのはC・ロナウドやカルヴァーリョといった土壌にない選手がいるからだと思う。日本にも今土壌にない選手がわずかだがいると思う。次のWCにオシム監督がその選手達をどう活かすかでベスト16もみえてくるし、楽しみでもあります。
    話がずれてしまったが、日本でもおもしろいスコアレスドローの試合が生まれるようになったのは日本のレベルが上がってきたことの証明なんでしょうね。

  2. フミさんコメントありがとうございます。
    >イタリアでは失点とはミスから生まれる
    >ものだという考え方が基本です
    おお、そうなんですか。知りませんでした。
    「日本には守備の文化がない」なんて言われたことがありますが、最近はJリーグを見ていても、かなり守備主体になってきていますね。
    それがよいことなのか、どうか・・・ 本心では迷うところではあるのですが、サッカーを見続けていると、寄せや詰めの鋭さ、というのがだんだん面白くなってきているのも事実です。
    見るほうの質も上がってきているのでしょうね。

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