モウリーニョ 子供時代の思い出

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Q: あなたは十分成功していますね。でも、困難に直面したとき、どうやって乗り切っていきますか?それはコーチなら誰にでも起こることですよね。
A: そのとおりだ。でも私はサッカーをよく知っている。9歳か10歳のとき、父親が、クリスマスの日に首にされたのを覚えているよ。多分、試合の結果がよくなかったんだろう。12月の22日か23日の試合に負けたんだと思う。クリスマスの日の昼食のまさにその時間に、父親は電話で首にされたよ。だから、サッカーのいい点も悪い点も、よくわかっているつもりだ。いつか、僕も首になるときが来るよ。

モウリーニョの父親は、ゴールキーパーであり、そしてその後にコーチになった。
10代のモウリーニョは、その父親のコーチの仕事を手伝っていた。選手のスカウティングを担当していたという。
彼が、今、監督をやっているのは、父親の影響が大きいようだ。
子供のときの父親の記憶。
しかもクリスマスの日である。父親は七面鳥をさばく大事な役割があるはずだし、それは家族のための特別な日だ。
それでも父親は、なにやら長い電話をしている。そんな日にする長電話が、前向きな話であるはずもなく、何かよくないことが起こっていることは、父親の背中を見ていれば、わかるだろう。
そういう記憶は、いつまでも深く刻まれているものだ。
確かに、僕自身も重い雰囲気で、電話をする父親の姿を覚えている。父親が家庭でわざわざする電話が明るいものである可能性は極めて低い。
そんな、いつもと雰囲気が違う、電話をする父親の方を気にすると、母親にたしなめられたものだ。
父親は、仕事や外のトラブルを、できるだけ家庭に持ち込まないように細心の注意を払っていた。
モウリーニョも、そんな父親の背中を見て育った。本来なら、選手としてプロになれなかった人間なのだから、もう少し別の道を選んだことだろう。
しかし、コーチの現場にいることが、モウリーニョにとっては自然なことだったのだろう。
モウリーニョは、やがてボビーロブソンの通訳からはじめて、少しづつ、サッカーのコーチの上流へと導かれていく。
彼が、このように子供時代のことを語るのは、珍しい。メディアに対しては、まるでチェスを打つように、手の内を明かさない。
彼が、家庭のことを語ることはほとんどない。質問を投げかけているインタビューワーも、そんなことは少しも意図していなかったようだ。
モウリーニョの子供時代というのは、どんなだったのだろうか?
僕の頭の中には、やっぱりグレーのコートを着て、寒そうに手を息で温めながら、新聞配達をしている姿を思い浮かべてしまうが、まあ、その映像はちょっと作りすぎだ。
少し古いインタビューだが、モウリーニョの素顔が一瞬だけのぞいた、貴重なやりとりだ。

原文は以下のとおり

Sure, but I know football very well. I was nine or 10 years old and my father was sacked on Christmas Day. He was a manager. The results had not been good ? he lost a game on December 22 or 23. On Christmas Day, the telephone rang and he was sacked in the middle of our lunch. So I know all about the ups and downs of football. I know that one day I will be sacked. I know that one day the results will not be good.
TIMES ONLINE
www.timesonline.co.uk Interview: Jose Mourinho
November 14, 2004

コメント

  1. エディー より:

    get sackedは「トラブルに捕まる」ではなく「首になる」ということだと思います。つまり彼のお父さんはクリスマスの日に首になったということですね。

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